世間がサッカーワールドカップで盛り上がる中、テニス界はデビスカップが幕を閉じ、約1か月の休息期間に入りましたね。
ところで、今年1月のATPカップの優勝国はどこだったか、皆さんは覚えていますか・・・?
私は全く記憶に残っていませんでした(笑)
ということで、来年を気持ちよく迎えるためにも今年1年のテニス界を振り返っていきましょう!
メイントピック(1月・2月)
各大会を振り返る前にこの2か月で起こった大きな出来事をまとめてみましょう。
- R・ナダル、全豪オープン優勝でGS優勝数歴代最多の21勝
- 2009年全米覇者・デルポトロ 引退か?
- 世界ランク1位、ついに陥落
あたりが大きなニュースだと思います。順番に観ていきましょう。
R・ナダル、全豪オープン優勝でGS優勝数歴代最多の21勝
1月17日から開催された全豪オープンでは、第6シードで登場したR・ナダルが、決勝戦で第2シードのD・メドベデフを2-6 6-7(5) 6-4 6-4 7-5のフルセットで破り、自身2度目の全豪制覇を達成しました。
この優勝で、今までジョコビッチ、フェデラーと並んでいたGS優勝回数20回から抜け出し、歴代最高のGS21勝を達成しました。
また、ジョコビッチが先んじて達成していたダブルグランドスラム(各グランドスラムに2度ずつ優勝)を達成。記録をたくさん樹立した大きな勝利でした。
2009年全米覇者・デルポトロ 引退か?
2019年から続く膝の怪我の影響で、何度も手術を繰り返し、ツアーに長らく顔を見せていなかったデルポトロの復帰戦が、地元アルゼンチンのブレノスアイレスに決定しました。
試合前の会見で、引退を示唆するかのような発言をした後、1回戦で同郷のデルボニスに1-6 3-6で敗退。試合中に涙を流し、試合が終わるとコートに自身のバンダナを置く姿はまさに引退する選手のそれでした。
明確に引退を表明したわけではありませんが、デルポトロのテニスが見れるのはあれで最後だったかもしれません。
また一人、時代を彩った選手が引退するとなると、とても寂しい気分になりますね。
世界ランク1位、ついに陥落
テニス界は、長い間BIG4というスター選手たちによって支配されてきました。ですが、彼らも年齢を重ねたり、けがでの離脱などもあり、その支配力は年々落ちてきています。
今年も、その支配の終了を印象付ける出来事が起きました。
2004年にフェデラーが全豪オープンを優勝し世界ランク1位に上り詰めて以降、BIG4の4人で持ち回っていた世界ランク1位の座がジョコビッチからメドベデフに移り18年ぶりにBIG4以外の世界ランク1位が誕生しました。
18年間ってすごいですよね…。2004年といえば、新潟中越地震が起きたり、三菱UFJ銀行ができた年です。もはや記憶に残っていない人の方が多いかもしれませんね。
いずれにせよ、一つの大きな時代が終わりました。今後、ナダルやジョコビッチが復活してくるのか、はたまたこのまま世代交代が完了するのか。ツアーの楽しみがまた増えましたね。
では、開催された各大会を振り返っていきましょう。
1月
開幕戦のATPカップとグランドスラム第1戦の全豪オープンが開催される1月です。
今年の1月はジョコビッチがオーストラリアに入国できるのか否かでかなりテニス界も荒れていましたね。新型コロナウイルスが与えた影響は底知れないですね。
ATPカップ(1日~9日)
年明け早々に開幕したのは、ATP主催の国別対抗戦、ATPカップです。主要16か国が4つのグループに分かれて予選を戦い、各ブロック1位通過の国がトーナメントを争います。
今年の準決勝出場国はバウティスタ=アグートやカレー=ニョブスタ要するテニス大国スペイン、ハルカッチ率いるポーランド、オジェ=アリアシムやシャポバロフなどプレーヤーの平均値が高いカナダ、メドベデフ率いる強豪国ロシアの4か国でした。
優勝はカナダが勝ち取りました。
決勝ではアリアシムがバウティスタ=アグートを7-6(3) 6-3で、シャポバロフがカレー=ニョブスタを6-4 6-3で破りました。
デビスカップもそうですが、団体戦ならではの雰囲気は自分の高校時代を思い出して、アツい気持ちになれてとても見ていて楽しいですね。
[ATP250]アデレード・メルボルン(3日~9日)
ATPカップと同時期にはATP250が2大会開催されました。国の代表に選ばれなかった選手や、個人的にポイントを稼いだり調整したい選手はこちらに出場する感じでしょうか。
アデレードでは、第1シードのモンフィスが第2シードのハチャノフを決勝で破り、見事優勝に輝きました。モンフィスはかなりのベテランの域に入っていますが、まだまだ頑張っていますね。
モンフィスにとってはツアー11回目の勝利となります。また、18年間連続でツアー決勝に駒を進めるというとんでもない記録を達成していたりもします。どこまでこの記録が伸びるのか、非常に楽しみですね。
メルボルンではナダルが第1シードとして登場です。第2シードのオペルカと、第3シードのディミトロフを破って勝ち上がってきたクレシーをストレートで破っての優勝となりました。
ナダルはこれで89回目のツアー優勝、更には19年連続でタイトルを獲得するという、先ほどのモンフィスが霞むような記録を打ち立てました。全豪オープンに向けて、準備万端といった感じでしょうか。
[ATP250]シドニー・アデレード2(10日~15日)
次週には再び250大会の同時開催です。アデレードは2週続けての大会開催になります。
シドニーでは第1シードのカラツェフが、第2シードのバシラシビリ、第4シードのオペルカを破り勝ち上がったマレーを6-3 6-3のストレートで下し、自身3つ目のツアータイトルを獲得しました。
2021年に最も伸びたといわれる男が、再びオーストラリアの地で躍動しました。マレーもまだまだ活躍できそうな戦いを見せてくれました。またツアーで戦うマレーが見れてとても嬉しいです。
2週連続開催となったアデレードの決勝では、ランデルクネクとコキナキスのノーシード対決となりました。
フルセットの激闘の末、コキナキスが初めてのタイトルを獲得しました。
2013年にプロに転向してようやく手にした地元でのタイトル。彼の喜びは想像を絶するものだったでしょうね。
[グランドスラム]全豪オープン(17日~30日)
いよいよ始まりました。グランドスラム第1戦、全豪オープンです。
今年は新型コロナワクチンのごたごたで、9度の優勝を誇り、3連覇中だったジョコビッチが出場できないという大会でした。また、優勝経験のあるフェデラー、ワウリンカも欠場したため、全豪タイトル保持者で出場しているのはナダルだけという状況でした。
多くのファンが、全豪初優勝者が現れるかも・・・!と思っていたかもしれませんが、結局優勝したのは2009年の全豪覇者、ナダルでした。
決勝では、第2シードのメドベデフに2セットダウンまで追い込まれるも、そこから驚異の強さを見せつけて逆転…。
この勝利で自身の90度目のタイトル、そして歴代最多の21度目のグランドスラムタイトル、ジョコビッチに次いでダブルグランドスラムの達成ととんでもない記録を打ち立てました。この記録が打ち破られるのはいったいいつになることやら・・・
[ATP250]コルドバ・プネー・モンペリエ(31日~2月6日)
全豪オープンが閉幕し、ツアーの舞台はオーストラリアから世界各国に広がっていきます。
アルゼンチンのコルドバはクレー、インドのプネーはアウトドアハード、フランスのモンペリエではインドアハードと、異なるサーフェスで3大会が同時開催されました。
コルドバは、予選勝者のタビロがその勢いのまま決勝へ駒を進めましたが、クレー巧者の第6シード、ラモス=ビノラスにフルセットの末敗れました。
ラモス=ビノラスはこれでツアー4つ目のタイトル獲得となりました。4つすべてがクレーでのタイトルです。34歳と、意外とベテランの域にいる選手ですが、今後もクレーでは侮れない選手ですね。
プネーではノーシードから勝ち上がったソウザと、第6シードのルースブオリが決勝で相まみえます。
初タイトルを目指す若手のルースブオリでしたが、33歳のベテラン、ソウザの前にフルセットの末敗れました。ソウザがとてもいいプレーをしていた記憶が残っています。
ソウザはこれで4つ目のツアータイトル獲得となります。初タイトルは2013年、前のタイトル獲得は2018年ととても根気強くツアーでプレーし続けています。
このように長く地道に努力し続けている選手からは、とても勇気がもらえますね。
モンペリエでは第1シードのズベレフと第6シードのブブリクが決勝を戦いました。アレキサンダー対決ですね(笑)
ツアーでの存在感は高いブブリクですが、ツアー決勝に進むのはこれが初めて。ここまですべてストレートで勝ち上がってきたズベレフが圧倒的有利かと思われましたが、結果はブブリクから6-4 6-3でした。
これでブブリクは初めてのツアータイトル獲得となりました。とても喜んでいた姿が印象的でしたね。これからも定期的に大物食いをしてくれそうです。
2月
2月はいよいよATP500大会が開催されていき、ツアーも盛り上がっていきます。
そして、2009年全米覇者のデルポトロが会見で引退の可能性を示唆。正式に引退を表明したわけではないので、今後どうなるかはわかりませんが、コートで涙するデルポトロを見てこちらも泣きそうになりました…
個人的にはまだテニスを続けてほしいですが、日常生活にも支障が出るほどだったらしいのでそうとう厳しそうですね。
[ATP500]ロッテルダム・[ATP250]ダラス・ブレノスアイレス(7日~13日)
ついにATP500大会の開幕です。
ロッテルダムでは第1シードのチチパスと第3シードのオジェ=アリアシムという豪華なカードとなり、6-4 6-2のストレートでアリアシムが勝利を収め、初めてのツアータイトルを獲得しました。
アリアシムはこれまで、8つの準優勝がありながら、優勝は一度もありませんでしたが、ここでついに殻を破りましたね。これをきっかけに、2022年シーズンは大きな躍進を遂げることになります。
一方のチチパスは一定の活躍は見せているものの、ハードコートのタイトルは2020年のマルセイユ以降ありません。もう一つ、何かの進化が必要なのかもしれませんね。
ダラスでは、本選出場28人中半分の14人ものアメリカ選手が出場するという、なかなか面白い大会でした。
決勝戦では、第4シードのブルックスビーと第2シードのオペルカが対戦しました。タイブレーク2つを制し、オペルカが自身3つ目のツアータイトルの獲得を果たしました。
優勝したオペルカはこの大会獲得した10セットの内、8セットをタイブレークで奪取し、準決勝のイズナー戦ではタイブレーク24-22という『ビッグサーバーの勝ち方』を体現していました。
やっぱりこういう選手は、ハマれば手が付けられないですね。
ブレノスアイレスでは、第1シードのルードと第2シードのシュワルツマンというクレー巧者同士の決勝となりました。2020年覇者のルードか、2021年覇者のシュワルツマンかという戦いでしたが、結果はフルセットの末、ルードが勝利を収めました。
ルードはこの勝利で自身7つ目のツアータイトルの獲得となりました。
調べてて気づきましたが、シュワルツマンってもう30歳になったんですね。時の流れはこんなにも早いのか…
同じ低身長のフェレールは30歳頃から全盛期を迎えましたし、シュワルツマンもまだまだ頑張ってほしいところです。
[ATP500]リオ・[ATP250]ドーハ・デルレイビーチ・マルセイユ(14日~20日)
この週はなんと4大会も同時開催されます。選手も、どの大会に出るのか苦労してそうですね。
リオでは、第7シードのアルカラスと、先週も勝ち進んだ第3シードのシュワルツマンが決勝を戦い、アルカラスが自身2度目のツアータイトルを獲得しました。
この優勝で、アルカラスは2度目の優勝。ランキングも20位に上昇しました。この選手が年末にはナンバー1になるとは、当時は誰も想像していなかったでしょうね。
これほどの躍進を遂げる選手は、今後もなかなか出てこないでしょう。
ドーハで開催されたATP250では、第2シードのバウティスタ=アグートと第3シードのバシラシビリが決勝に駒を進めました。
2021年覇者のバシラシビリか2019年覇者のアグートか、優勝経験のある二人の対決は6-3 6-4でアグートに軍配が上がりました。
2019年のドーハ以来のタイトル獲得、そして自身10回目のタイトル獲得となりました。
アグートの安定感は本当にすごいですね。34歳になりましたが、相変わらずロングマッチでも動きは悪くならないし、とてもハードなトレーニングを積んでいることが伺えます。
デルレイビーチでは第1シードのノーリーと第2シードのオペルカが決勝を争います。2セットともタイブレークに突入し、その2つともをノーリーが制し、自身3つ目のツアータイトルを獲得しました。
2021年のインディアンウェルズマスターズで名をはせたノーリーですが、その後も安定した成績を残し続けています。
あのインディアンウェルズは彼にとってとてもいいきっかけになったのだと思います。個人的にノーリーのプレーは好きなので、今後も応援していきたいと思います。
マルセイユの決勝では、第3シードのオジェ=アリアシムと第2シードのルブレフが相対します。直前のロッテルダムの対戦ではアリアシムが勝利を収めていますが、今大会はルブレフがストレートで勝ちました。
ルブレフは2021年のロッテルダムから、1年以上タイトルから離れていましたがここで自身9つ目のタイトル獲得となりました。
ルブレフは今大会のダブルスでも優勝しており、ダブルス3度目のツアータイトルを獲得しています。ダブルスはあまり注目されないですが、ちょっと放送してほしいなという気持ちもあります。
[ATP500]ドバイ・アカプルコ・[ATP250]サンティアゴ
この週は、ATP500が同時開催されます。そちらに有力選手が集まるため、250のサンティアゴは比較的穴場になるという感じですね。
ドバイでは久々に大会に出場したジョコビッチを破ったノーシードのべセリと、前週優勝して好調のルブレフが決勝で争います。結果はルブレフから6-3 6-4という結果に終わりました。
ルブレフは2週連続優勝を果たし、ツアー10個目のタイトルを獲得しました。
また、世界ランク1位のジョコビッチが準々決勝で敗退したため、世界ランク1位の座をメドベデフに譲ることとなりました。
BIG4以外の世界ランク1位は18年ぶりということで、ついに時代が変わったことを感じさせられましたね。
アカプルコの決勝では、過去3度の優勝を誇る第4シードのナダルと第6シードのノーリーという左利き対決となりました。結果は6-4 6-4でナダルが優勝し、開幕からの連勝記録を続けています。
アカプルコでは4度目の優勝、そして自身91度目の優勝となりました。
今大会でメドベデフが1位になりましたが、勝ち取ったというよりかはジョコビッチが落ちた(それも負けたというよりかは試合に出れなかった)という感じで、ちょっともやっとする1位譲位でしたね。
サンティアゴでは第4シードのマルティネスと第7シードのバエズが決勝で争います。メンバー的にもだいぶ穴場という感じですね。マルティネスが4-6 6-4 6-4のフルセットで勝利を収めました。
マルティネスは、これが初めてのツアータイトル獲得となり、ランキングも72位から50位まで一気に上げました。
スペインの選手は本当に層が厚いですね。次々と選手が出てきていますし、どういう育成をしているのか、とても気になりますね。
まとめ
1月2月はとても大会数が多く、まとめるのが調べるのがとても大変でした(笑)
総じて、シード勢の活躍が多かったかなという印象です。まあデータを取っているわけではないので、あくまで私自身の感覚ですが・・・
ナダルの21回目のGS優勝という特大イベントがあり、1位は譲ったもののまだグランドスラムはBIG4が獲り続けるような雰囲気を醸し出していました。
また、オジェアリアシムの初タイトル、ルブレフの1年ぶりのタイトルと2週連続優勝といったネクストジェンたちの活躍や、そのさらに下の世代アルカラスの2度目のツアータイトルと、若手陣の活躍も目まぐるしいものがありました。
では、長くなりましたが、今回の記事はこのあたりにしておきます。また3月以降の大会もまとめていきますので、ぜひお待ちください!
では、この辺で…
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