いよいよ、今年初めてのマスターズの大会が開催されました。
アルカラスは優勝すればジョコビッチから1位奪還。チチパスはこれと、次戦のマイアミも優勝すれば初めての1位獲得と、ジョコビッチが出場できない間に1位奪還できる可能性があります。
非常に注目される今大会ですが、開催されてみたらシード選手が次々と倒れる大波乱っぷり。
今回の記事では、その途中経過と番狂わせをおこした選手たちを紹介します。
ドロー
4回戦(ベスト16)に残った選手
トップハーフ
アルカラス vs ドレイパー
盤石の勝ち上がりを見せる、第1シードのアルカラスと、エバンス、マレーといった同国の先輩との対決を制してきた21歳のドレイパーが対戦します。
アルカラスは3回戦でツアー勝利100勝を達成し、この大会優勝すれば世界ランク1位奪還と、ノリにノッています。
この二人の対戦は昨年のバーゼルで対戦があり、その時はアルカラスが3-6 6-2 7-5で勝利を収めています。
アルカラスはもちろんのこと、ドレイパーも今後が嘱望される期待の若手です。ドレイパーはアルカラスについていけるか、非常に注目が集まる試合になると思います。
ポール vs オジェ=アリアシム
第8シードを順当に守ったオジェ=アリアシムは、第9シードのフルカッチを破ってきた第17シードのポールと対戦します。
ポールは今年の全豪ベスト4、そしてアカプルコ準優勝に加えてレースランキング5位と、現在最もノッている選手の1人です。
このままいけば年末TOP10も全然視野に入ってくると思います。
そんなTOP10を狙う選手の壁となるのが、アリアシムのようなランキング10位前後の選手ですね。
このあたりの選手に勝てるとランキングもスルスルと上がっていきますが、ここで負けているといつまでたっても10位後半から抜け出せません。
ポールが押し切るか、アリアシムが壁になるか。個人的にはポールを推しているので、とても注目しているカードです。
フリッツ vs フチョビッチ
こちらも初対戦のカードでした。昨年のインディアンウェルズ覇者、今大会第4シードのフリッツは、ダークホースのフチョビッチと対戦します。
フチョビッチはキャリアハイランクは31位とそこまで高くないものの、ウィンブルドンベスト8の経験もあり、全仏や全豪も4回戦進出と、すべてのサーフェスで安定した成績を収めている、なかなかの強者です。
フリッツも今大会非常に盤石な勝ち上がりを見せており、最近の成績も非常にいいです。レースランキングも6位につけていますね。
フリッツはこの大会後に1000ポイントもの失効が待っているので、ランキング保持のためにも一つでも多く勝ちたいところです。どこまで残れるか、勝負の大会になると思います。
シナー vs ワウリンカ
第11シードのシナーは、ここまでセットを一つも落とさない盤石な勝ち上がりを見せています。
4回戦で対戦するのは、グランドスラム3勝、元世界ランク3位の大ベテラン・ワウリンカです。
ワウリンカはもう年齢を重ね、ランキングも3桁まで落ちて、さすがにもう厳しいかと思われていましたが、今大会でその底力を見せてくれています。
3回戦では、昨年のパリマスターズで敗北を喫した因縁の相手、第7シードのルーネに競り勝ちました。
この二人は過去に4度も対戦しており、ここ最近はシナーが2連勝しています。
直近の対戦は今年のロッテルダムで、その時はシナーが6-1 6-3と完勝しています。
今回もシナーが勝ち切って世代交代を見せつけるか、はたまた大ベテランがその維持を見せるか、注目のカードになります。
ボトムハーフ
メドベデフ vs ズベレフ
こちらのブロックは順当にシードを守った第5シードのメドベデフと、第12シードのズベレフが対戦します。4回戦とは思えない豪華なカードになりましたね。
過去の対戦成績は6勝6敗。12戦すべてがハードコートでの対戦です。
前回の対戦は2021年のツアーファイナルの決勝。ズベレフが対メドベデフの5連敗を止め、6-4 6-4で勝利。見事優勝に輝きました。
ズベレフはけがでの長期離脱から復帰直後ですし、メドベデフは直近3大会連続優勝を成し遂げているしで、下馬評的にはメドベデフが有利かなと思います。
ネクストジェン世代の2トップの対戦です。どのような結果になるにせよ、いい試合が見れることを期待しておきましょう。
ダビドビッチ フォキナ vs ガリン
こちらは第13シードのハチャノフを破った第23シードのフォキナと、予選から勝ち上がり、第29シードの西岡、第3シードのルードを破ったガリンとの対戦です。
フォキナはこの大会後には自己最高ランクの27位を更新し、26位以上になることは確定しています。元々クレーコーターのような感じでしたが、最近はハードでもなかなか侮れない存在になってきています。
一方のガリンは、現在はランキングを落としているものの、最高ランキングは17位で、ATP500(リオ)のタイトル保持・ウィンブルドンベスト8と、かなりの実力者です。
両者の対戦はこれが3度目で、前回の対戦は2021年のアントワープ(ハード)。この時はフォキナが4-6 6-3 6-3で勝利を収めました。
クレーコーター同士の対戦。どちらがベスト8に駒を進めるか、注目です。
ルブレフ vs ノーリー
こちらも順当にシードを守った第6シードのルブレフと、第10シードのノーリーとの対戦になります。
ルブレフはドバイで準優勝、ノーリーはリオで優勝と、最近の大会でも結果を残している2人。状態はかなり良いとみていいと思います。
過去の対戦成績は、すべてハードコートでルブレフから2勝1敗。直近の対戦は昨年の全米オープン4回戦。ルブレフが6-4 6-4 6-4のストレートで勝利を収めました。
ランキング的にもルブレフ優位かと思われますが、ノーリーは2021年インディアンウェルズ覇者で、コートとの相性は非常にいいと思います。
正直、どっちが勝ってもおかしくないこの対戦。非常に楽しみです。
ティアフォー vs タビロ
予選から勝ち上がり、第32シードのクレシーを撃破。第2シードのチチパスを破ったトンプソンとの対決に勝利したタビロは、第14シードのティアフォーと対戦します。
タビロは初めて聞く方も多いと思いますので、軽く紹介を。
チリ出身の25歳で、南米出身者ではよく居るクレーが得意なタイプです。たまにクレーのチャレンジャーやATP250大会で勝ち上がる感じですね。自己最高ランクは67位。ATP250のコルドバで準優勝した経験もあります。
ビッグタイトルでこれほどの活躍をしたのは初めてですが、こういった経験から急に上位に定着するのはよくある話です。
タビロが今大会どこまで勝ち上がるのか、今後どれくらいツアーに名前を残すことができるのか、非常に注目です。
ちなみに、両者のツアーレベルでの対戦はこれが初めてになります。
一応、2020年のニューポートビーチ(チャレンジャー)では対戦があり、そこではティアフォーが6-4 6-2のストレートで勝利を収めています。
普通に考えたらティアフォーが勝って当たり前。ですが、そう思った通りに行かないのがスポーツの面白いところですよね。大番狂わせ、期待しています。
大金星を挙げた選手たち
J・トンプソン
第2シードのチチパスに7-6(0) 4-6 7-6(5)で勝利したのは、オーストラリアの28歳、トンプソンです。
トンプソンの自己最高ランクは43位。実はTOP50を切ったこともある知る人ぞ知る選手だったりします。ツアータイトルの経験はありませんが、2019年のスヘルトーヘンボスでは準優勝したこともあります。
実は、インディアンウェルズ前のローマチャレンジャーで優勝していて、かなりいい状態でこのインディアンウェルズに乗り込んできていました。
1回戦では、復帰戦となったG・モンフィスにわずか4ゲームしか与えず完勝。チチパス戦でも非常にエラーが少なく、3セット合わせて20本を切るほどの安定感を見せていました。
3回戦でタビロに敗れましたが、これほどのテニスができれば再びTOP50に復帰してきてもおかしくないかもしれませんね。
C・ガリン
第3シードのルードを破ったのは、予選から勝ち上がったものの、元17位の実力者であるガリンでした。
ルードに対して6-4 7-6(2)のストレートで勝利を収め、これで予選から5試合連続ストレート勝利となります。強いガリンが戻ってきましたね。
ガリンがTOP10選手に勝つのは、これが3度目です。
1度目は2019年のミュンヘン(ATP250)で当時3位のズベレフに6-4 5-7 7-5で勝利。2度目は2021年のマドリード(マスターズ)でこちらも当時3位のメドベデフに6-4 6-7(2) 6-1で勝利しています。
ハードコートでTOP10に勝つのはこれが初めてですね。意外と芝でも強いので、このまま全サーフェス強い選手になっていってほしいですね。
まとめ
今大会はシードダウンが非常に多い大会になりましたね。上記以外にも、
- 第16シード・デミノー:フチョビッチに4-6 2-6
- 第18シード・チョリッチ:モルチャンに3-6 3-6
- 第19シード・ムゼッティ:マナリノに4-6 4-6
- 第20シード・ベレッティーニ:ダニエルに6-7(5) 6-0 3-6
- 第24シード・エバンス:ドレイパーに4-6 2-6
- 第22シード・アグート:ルースブオリに6-7(5) 2-6
- 第26シード・ケツマノビッチ:ワウリンカに6-7(8) 4-6
- 第25シード・シャポバロフ:ウンベールに5-7 4-6
- 第29シード・西岡:ガリンに4-6 0-6
- 第32シード・クレシー:タビロに6-7(3) 6-7(13)
と10人ものシード選手が初戦敗退を喫しています。そして、第21シードのディミトロフと第28シードのザンツフープは途中で棄権。
17~32の下位シードの内、初戦を突破したのは
- 第17シード・ポール
- 第27シード・セルンドロ
- 第30シード・バエズ
- 第31シード・グリークスポール
のわずか4名だけです。ボトムハーフに至っては全滅でした。
TOP勢の実力が落ちてきているというよりは、下位勢の実力が上がってきていると思います(というか、そうだと信じたい)が、さすがにシード選手たちはもうちょっと頑張ってほしいですね。
こんな荒れた大会で、果たして優勝は誰になるのか。来週を楽しみに待つとしましょう。
といったところで、今回はここまでです。また別の記事でお会いしましょう~
コメント