2022年シーズン振り返りpart.3です。
5月にはマスターズ2大会にグランドスラム第2戦の全仏オープンが開催され、クレーコートシーズンが閉幕し、6月からは芝へ舞台を移し、グランドスラム第3戦ウィンブルドンが開催されます。
いつも以上に濃い2ヵ月になりそうです。それでは振り返っていきましょう。
前回の記事はこちら
メイントピック
5月、6月の主なニュースはこのあたりでしょうか。
- ジョコビッチ、ツアー1000勝達成
- チリッチ、全仏オープンベスト4進出。全GSでベスト4進出の快挙
- 元世界5位アンダーソン、元世界6位シモン等、有力選手が次々と引退表明
では、順番に見ていきましょう。
ジョコビッチ、ツアー1000勝達成
ローママスターズ準決勝にて、ジョコビッチがツアー通算1000勝を達成しました。
ツアー1000勝を達成したのは、コナーズ、レンドル、フェデラー、ナダルに次ぐ史上5人目となります。
ちなみに、1000勝達成時の年齢はコナーズが32歳、レンドルが32歳7ヶ月、フェデラーが33歳7ヵ月、ナダルが34歳5ヵ月、ジョコビッチが34歳11ヵ月で、ジョコビッチが一番遅い達成となりました。
レンドルの勝利数1068勝を超えるのはいつになるのか。そして、フェデラーやコナーズを超えて1300勝に到達するのか。ナダルとどちらが多くなるのか。
ジョコビッチが引退するときにどのあたりに着地するのか、楽しみですね。
チリッチ、全仏オープンベスト4進出。全GSでベスト4進出の快挙
全仏オープンにて、チリッチがルブレフを下し、初めてのベスト4に進出しました。これにより、すべてのグランドスラムでベスト4を経験した選手になります。
これって地味ですが結構すごくて、現役選手ではBIG4以外に成し遂げている選手は今のところいないんですよね。
最近でいうと、ベルディヒやナルバンディアンあたりは達成していますが、デルポトロやフェレール、ロディックやヒューイットなども達成していない記録だったりします。
すべてのサーフェスで高いパフォーマンスを出さなければいけませんから、難易度は相当高いといえそうです。
現役選手でリーチをかけているのは、全豪未達のデルポトロ、全仏未達のディミトロフ・ベレッティーニ、ウィンブルドン未達のワウリンカ・ティエム・ズベレフの6人です。
チリッチも33歳にしてこんな記録を打ち立てるのは凄いですね。今後も頑張ってほしいです。
元世界5位アンダーソン、元世界6位シモン等、有力選手が次々と引退表明
BIG4世代の強豪たちが次々と引退発表をしました。5月3日に元世界ランク5位、ウィンブルドンと全米の2大会で準優勝に輝いたアンダーソンが引退を表明。
3月に出場したマイアミマスターズが彼の最後の戦いになりました。
引退試合もせずに、ひっそりとツアーから姿を消すのもアンダーソンらしい気もしますが、とても好きな選手だったので、せめて引退試合を見届けたかったなぁという気持ちでいっぱいです。
次いで元世界ランク6位のシモンも、パリマスターズを最後に引退することを発表しました。マスターズ2度の準優勝、13度のタイトル獲得、ツアー通算500勝を誇る安定感のある選手でしたが、そのキャリアを今年で終えることとなりました。
フランス四銃士もこれであとはガスケとモンフィスの二人になってしまいました。
他にも、元16位で8度のタイトル獲得を誇るコールシュライバーもウィンブルドンを最後に引退を表明。
若手が出てくるのと同時に、ベテランたちも次々と引退を表明していて、まさに世代交代をこの目で見ている感じがします。ツアーも寂しくなりますね。
では、各大会を振り返っていきましょう。
5月
5月にはクレーマスターズ2連戦、そして全仏オープンが開催されクレーシーズンは最大の盛り上がりを見せます。
[マスターズ1000]マドリード(1日~6日)
早速マスターズ1000大会がマドリードで開催されます。ここでもアルカラスが勢いを落としません。QFでナダルを倒すと、そのまま準決勝でジョコビッチを6-7(5) 7-5 7-6(5)で倒し、決勝戦へ進出。
決勝戦では第2シードのズベレフを6-3 6-1のストレートで下し、再びマスターズの頂点に立ちました。
アルカラスはこれが5つ目のタイトル、今年に入っては4つ目のタイトル獲得となりました。
ちなみに、クレーコートの同一大会でナダルとジョコビッチを倒したのはアルカラスが初めてのようです。勝率などを見ても明らかにクレーのTOP2の二人ですからね。
アルカラスはどこまでたどり着けるのか、本当に楽しみです。
[マスターズ1000]ローマ(8日~14日)
舞台をイタリアのローマに移して、2週連続でマスターズが開催されます。先週優勝したアルカラスは、足の不調により大事をとって休息に入りました。
今大会では、第1シードで登場したジョコビッチが安定した勝ち上がりを見せます。QFでアリアシム、SFでルードをストレートで破り決勝へ進出。第4シードのチチパスと対戦します。
これが9度目の対戦となる両者ですが、ジョコビッチが6-0 7-6(5)で勝利をおさめ、ローママスターズ6度目の優勝に輝きました。
ジョコビッチはこれが87度目のツアータイトル獲得であり、マスターズ38度目の優勝となります。
また、これで対チチパスの対戦で5連勝です。ジョコビッチはかなりデータを使うとよく言われていますが、もう完全にチチパスの攻略は完了してしまったんですかね…
[ATP250]ジュネーブ・リヨン(15日~21日)
全仏1週間前には、前哨戦でATP250が2大会同時開催されます。
ジュネーブではノーシードからソウザが決勝へ進出。すべての試合をストレートで勝利するという好調さを見せつけましたが、決勝では昨年覇者の第2シード、ルードの前に6-7(3) 6-4 6-7(1)で敗れました。
ルードにとってはこれが8度目のツアータイトル獲得となりました。これまでのタイトルはすべてATP250大会です。そろそろATP500以上の大会でのタイトルが欲しいですね。
リヨンでは、第1シードのノーリーがシードを守り決勝へ進出。ノーシードから勝ち上がってきた最近好調のモルチャンと対戦します。
決勝では6-3 6-7(3) 6-1でノーリーが勝利。クレーコートで初めてのタイトル獲得となりました。
ノーリーはこれが4つ目のツアータイトル獲得です。ハードだけでなく、これからはクレーでも活躍していってほしいですね。
[グランドスラム]全仏オープン(22日~6月5日)
22日からはグランドスラム第2戦、全仏オープンが開催されます。2021年はジョコビッチがチチパスを退け、2度目の全仏タイトルを獲得しました。
そろそろ若手陣にも期待したいところです。その期待に応え、第8シードのルードが決勝へ進出。全仏史上最強の選手、過去13度の優勝を誇るナダルと対戦します。
ルードはナダルアカデミー出身者です。いわば師弟対決のようなものですが、結果はナダルが6-3 6-3 6-0で圧勝でした。
ナダルはこれで92度目のタイトル獲得。22度目のグランドスラム優勝。全仏は14度目の優勝となりました。
全仏だけでサンプラスのグランドスラム獲得数に並ぶというとんでもない記録を打ち立てました。この状況は2023年も続くのか、新たな選手が出てくるのか。楽しみですね。
ルードはこれが初めてのグランドスラム決勝でした。ナダルには実力でも経験でもまだまだ及ばない感じでしたが、まだ23歳ですし、これからの活躍に大いに期待したいですね。
6月
全仏オープンが閉幕し、6月からのツアーは芝へ舞台を移します。
球速が遅く高く跳ねる土から、球速が速く低く滑る芝への転換は選手たちにとって大きな負担となっていて、よくけが人が出るシーズンでもあります。
また、活躍する選手層もクレーとは全く違います。では、各大会を見ていきましょう。
[ATP250]シュツットガルト・スヘルトーヘンボス(6日~12日)
芝の開幕はATP250大会がドイツとオランダで同時開催されます。
シュツットガルトでは、元世界ランク1位のマレーが第1シードのチチパスや芝の強豪キリオスらを破り決勝へ進出。2021年ウィンブルドン準優勝のベレッティーニと対戦します。
結果はベレッティーニから6-4 5-7 6-3でした。
ベレッティーニはこれで6つ目のタイトル獲得となります。若手ではクレーやハードが得意な選手が多い中で、芝が得意な珍しい選手です。
このままウィンブルドン優勝を狙っていってほしいですね。
スヘルトーヘンボスでは、ノーシードのライトーフェンが大活躍します。WCで出場し、フリッツやアリアシムといった強敵を倒し、決勝で第1シードのメドベデフと対戦します。
ライトーフェンの勢いは止まらず、地元の声援もあり6-4 6-1で勝利をおさめました。
ライトーフェンはこれが初めてのツアータイトル獲得となり、ランキングも205位から106位まで急上昇しました。
昨年の全米で急にでてきたザンツフープといい、オランダ選手が急に存在感を出してきましたね。ライトーフェンがどこまで上り詰めるのか楽しみです。
[ATP500]ロンドン(クイーンズ)・ハレ(13日~19日)
続いてATP500大会が同時開催されます。
ロンドンでは、ノーシードのクライノビッチがクエリーやチリッチといった芝巧者との対戦を制し、決勝へ進出し、第2シードのベレッティーニと対戦します。
先週優勝した勢いそのままに、ベレッティーニが7-5 6-4で勝利を収めました。
ベレッティーニはこれで7つ目のタイトル獲得。更にロンドンでの2連覇を達成しました。芝のベレッティーニはほんと強いですね。
また、ベレッティーニは7つあるタイトルの内、4つが芝、3つがクレーでハードでのタイトルが1つもない珍しい選手です。このままボルグみたいになっていったら面白そうですね。
ハレでは、前週惜しくも準優勝だった第1シードのメドベデフが再び決勝へ進出。第5シードのハルカッチと対戦します。
昨年のウィンブルドンでベスト4に入ったハルカッチですが、今大会でも芝での強さを見せつけ、6-1 6-4のストレートで勝利。優勝に輝きました。
ハルカッチはこれでツアー5度目のタイトル獲得。芝でのタイトルはこれが初めてでした。
ハルカッチは若手にしては珍しくネットプレーを多用する選手で、ノッているときのプレーはほんとに手が付けられないです。あとはコンスタントに勝ち上がる安定感が出てくれればもっとランキングを上げていけそうです。
[ATP250]マヨルカ(19日~)・イーストボーン(20日~26日)
ウィンブルドン前最後の大会はATP250大会が同時開催されます。
マヨルカでは、第2シードのチチパスが第5シードのバウティスタ=アグートと決勝を戦います。
チチパスはクレーに強く、芝に弱いというイメージでしたが、芝巧者のアグートに6-4 3-6 7-6(2)で勝利を収めました。
チチパスはこれで自身9つ目のタイトル獲得、そして芝では初めてのタイトルを獲得しました。少しづつ芝でのプレーに適応してきているのかもしれませんね。
イーストボーンでは、第1シードのノーリーを破ったクレシーがそのまま決勝へ進出。第3シードのフリッツと対戦します。
クレシーの怒涛のサービスダッシュに何とか耐え、フリッツが6-2 6-7(4) 7-6(4)で勝利を収めました。
フリッツはこれが3つ目のタイトル獲得となりました。自身が初めてタイトルを獲ったイーストボーンで3年ぶりの優勝となりました。
[グランドスラム]ウィンブルドン(27日~7月10日)
テニス界で最も盛り上がるといっても過言ではないウィンブルドンの開幕です。
今年は、ロシア・ウクライナ問題でロシア選手の参加が不可能になり、更にATP側がそれへの制裁としてウィンブルドンでのランキングポイント付与無しという異例中の異例の大会となりました。
オフコートだけでなくボトムハーフもかなり荒れ、昨年準優勝のベレッティーニがコロナ陽性で棄権。第2シードのナダルも準決勝でけがにより棄権。チチパスを破ったノーシードのキリオスが決勝へ進出しました。
そんな中でも安定して勝ち上がったのは過去6度の優勝を誇り、現在3連覇中の第1シード・ジョコビッチです。
過去2度の対戦があり、その両方で勝利しているキリオスでしたが、グランドスラム決勝はやはり勝手が違ったのかジョコビッチが4-6 6-3 6-4 7-6(3)で優勝に輝きました。
ジョコビッチの88度目のタイトル、そしてグランドスラム21度目の優勝、更にはウィンブルドン4連覇という大きな勝利となりました。
また、グランドスラム獲得数ではフェデラーを超え歴代単独2位へ、ウィンブルドン優勝回数はフェデラーの持つ歴代最多の8勝にあと一つの7勝となりました。
2023年ももしジョコビッチがウィンブルドンを優勝するとなると『5連覇を含む8回の優勝』となり、芝の皇帝と言われたフェデラーと並ぶこととなります。
どうなるか、来年も目が離せませんね。
総括
ということで、テニス界が最も盛り上がる5、6月のまとめを終わります。
グランドスラムに関しては、『逃げるナダル、追いかけるジョコビッチ』といった感じでしょうか。ここに若手が入り込めないのが何とも言い難いです。彼らはいったいどこまで行ってしまうんでしょうね。
一方グランドスラム以外の大会ではもう世代交代は完了した感じはあります。アンダーソンやシモンといった、いわゆるBIG4世代が次々と引退し、錦織やディミトロフらの世代も全然姿を見せなくなりました。
ズベレフ、メドベデフ世代や、その下のシナー、アルカラス世代らがどれくらいグランドスラムに絡んでくるかが今後の注目ポイントですね。いい加減ジョコビッチとナダルに引導を渡す選手が出てきてほしいところです。
といったところで、今回はここまでです。
また7月以降もまとめていきますので、ぜひお待ちください。ではでは…
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