普段何気なく使う『世界ランキング』。その制度は単純そうですが、意外と複雑だったりします。
今回はテニス観戦をさらに楽しむために、ツアーの根幹をなすランキングポイント制度について解説していきます!
ランキングってどうやって決まっているの?
初めに結論から言うと、テニスの世界ランキングは『ランキングポイント』によって決定されます。
試合で勝利すると、その成績に応じた『ランキングポイント』を獲得できます。
ランキングポイントは、その大会が終わった時点で各選手に付与され、52週(1年)の有効期限があります。52週後に獲得したランキングポイントは失われます。
つまり、世界ランキングは『過去1年間で獲得したランキングポイント』の順位ということです。
ランキングポイントはどれくらい貰えるの?
各大会のグレード
テニスツアーには数多くの大会があります。ランキングポイントを理解するためには、その各大会のグレードを理解する必要があるので、まずはそれをまとめます。
最も格が高いのはグランドスラムです。毎年4大会開催され、四大大会とも呼ばれます。それぞれ、
- 1月 全豪オープン(オーストラリア)
- 5月~6月 全仏オープン(フランス)
- 7月 ウィンブルドン(イギリス)
- 8月~9月 全米オープン(アメリカ)
となります。
次に格が高いのはATPツアーファイナルという大会です。毎年年末に開催され、その年に好成績を収めた上位8名しか出場することのできない特別な大会です。
その次はマスターズ1000というグレードの大会です。こちらは毎年9大会開催され、
- 3月 BNPパリバ・オープン(アメリカ/インディアンウェルズ)
- 3月 マイアミ・オープン(アメリカ/マイアミ)
- 4月 ロレックス・モンテカルロ・マスターズ(モナコ/モンテカルロ)
- 4月~5月 ムチュア・マドリード・オープン(スペイン/マドリード)
- 5月 BNLイタリア国際(イタリア/ローマ)
- 8月 ナショナルバンク・オープン(カナダ/トロントとモントリオールの隔年開催)
- 8月 ウィンストン=セーラム・オープン(アメリカ/シンシナティ)
- 10月 ロレックス・上海・マスターズ(中国/上海)
- 10月~11月 ロレックス・パリ・マスターズ(フランス/パリ)
で行われます。
ちなみに、冠スポンサーが変わって大会名が変更になることも多いので、一般にはインディアンウェルズマスターズのように、地名+マスターズで呼ぶことが多いです。
このグランドスラム、ツアーファイナル、マスターズまでの3カテゴリーをBIGタイトルと総称します。後で出てくるので覚えておいてください(笑)
その次には、年に13大会開催されるATP500シリーズ、さらにその下にはグランドスラムやマスターズがない時期にはほぼ毎週開催されているATP250シリーズが続きます。
このグランドスラムからATP250シリーズまでを『ATPツアーシリーズ』と呼びます。
それ以下は、世界各国で毎週のようにATPやITFが管轄するチャレンジャーシリーズ、フューチャーズシリーズと続き、そこまでが、ATPポイントが付与される対象の大会となります。
ランキングポイントの獲得量
それぞれのグレードによって、獲得できるポイントが設定されています。一覧で見てみましょう。
グレードが大きくなればなるほど、獲得できるポイント量は増えていますね。大きな大会で結果を残せば、それだけランキングが高くなるということです。
ちなみに、シード選手で、1回戦免除(bye)で2回戦敗退の場合は、1回戦負けと同じ扱いになります。
ただ、相手の棄権(RET)や試合前棄権(W/O)は勝利扱いとなるので、それに関してはポイントを貰えます。
また、この表に無いツアーファイナルに関しては大会ルール自体が特殊なので、下にまとめます。
- RR(ラウンドロビン)と呼ばれる予選リーグ・1勝につき200ポイントを付与(上限600ポイント)
- 準決勝勝利で予選獲得ポイントに追加で400ポイント付与
- 決勝勝利で追加500ポイント
- トータルの上限は1500ポイント
となります。これは例に挙げたほうが分かりやすいと思います。
例えば予選2勝1敗で優勝した場合は、予選で400ポイント・準決勝勝利で400ポイント・決勝勝利で500ポイントの合計1300ポイントが貰えるということです。
もう一つ例を挙げます。予選1勝2敗で準優勝した場合は、予選で200ポイント、準決勝勝利で400ポイントを獲得しているので、合計600ポイントということになります。
チャレンジャー・フューチャーズはそこからさらにグレードが細分化されています。下のとおりです。
以上がランキングポイントの獲得量のまとめになります
ランキングポイントの上限は?
ランキングポイントは勝てば無限に貰えるのではなく、20大会分のポイントしかランキングに反映されないという上限が設けられています。
20大会の内訳は、
- ATPツアーファイナル 1大会(最大1500ポイント)
- グランドスラム 4大会(最大8000ポイント)
- モンテカルロマスターズを除くマスターズ 8大会(最大8000ポイント)
- 上記以外の大会の内、成績のいい上位7大会(最大4000ポイント)
となっています。ですので、仮にビッグタイトルをすべて優勝し、かつユナイテッドカップでも500ポイントを獲得、ATP500で5回優勝という結果を残せば、上限の21500ポイントに到達できるというわけです。
ちなみに、ツアーファイナルに参加できない選手は加算される大会が19大会になります。それだけ、上位8名は優遇されているといえますね。
更に付け加えると、マスターズやグランドスラムの本戦に入れなければ、その大会分上位枠が増えます。
例:世界ランク3位 ステファノス・チチパス 5805ポイント
実際に例を見ていきましょう。2023年2月28日付世界ランク3位、S・チチパスの5805ポイントの内訳をみていきます。
なお、現在はウィンブルドンのポイント未加算と、上海マスターズの未開催で、上位枠が7大会から9大会に増えています。
21大会目のシュツットガルトが未加算となっていますね。今回のチチパスのように、同じポイントの場合は古い大会が未加算扱いになります。
今回で言うと、ロッテルダム(2023.2)、ウィーン(2022.10)、ハレ(2022.6.19)が、シュツットガルト(2022.6.12)より優先されるということです。
同じポイントの場合はどうなるの?
同ポイントで並んだ場合は、BIGタイトルでの獲得ポイントが多い方が順位が上になります。
丁度、今週(2023.2.27)のランキングでもしアルカラスがリオを優勝していたらジョコビッチとポイントが並んでいたので、それを見てみたいと思います。
両者とも6980ポイントで並んでいますが、BIGタイトルではジョコビッチが5830ポイント、アルカラスが5100ポイントとなり、ジョコビッチが上回っています。
そのため、この場合はジョコビッチが1位・アルカラスが2位ということになります。
もし、BIGタイトルでの獲得ポイントすらも同じになった場合は、参加した大会数が少ない方がランキングが上になります。
これまでの最高ポイントは?
制度はとしては以上です。ここまで詳しくなったら「これまでの最大ポイントはどれくらいなのかな?」という疑問が浮かびます。
過去最高のポイント獲得者は、現世界ランク1位のジョコビッチです。そのポイントは驚異の16950ポイント。
その内訳をみてみましょう。
何よりも大きいのは、グランドスラムを4大会連続優勝していたところですね。それ以外にも、モンテカルロマスターズ以外のBIGタイトルはすべて決勝進出というとんでもない記録です。
そして恐ろしいのが、あと3大会分余力を残してこのポイントを獲得していたことです。
将来、このポイントを超える選手は現れるのでしょうか。正直、ポイント制度が大きく変更にならない限り、これを超えるのは無理だと思います。
まとめ
というわけで、今回はATPランキングの制度を解説しました!
これで、ランキング制度はばっちりマスターできたと思います。これが頭に入っていると、「今日の試合であの選手が勝ったらランキングがどうなるのか」を理解したうえで見れるので、とっても楽しいです。
また、「ここが分からない」「もうちょっと詳しく教えて!」というのがあれば、コメント欄へお願いします!
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では今回の記事はここまでです。また、別の記事でお会いしましょう~
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